記事一覧

この時計の鈍器的な雰囲気は、ある種の「見た目は悪いが味はよい」といった魅力がある。

この時計が私のノスタルジーを強烈に刺激するのはなぜか考えてみたのだが、あの疑似リン酸塩皮膜処理されたケースと大いに関係があるように思う。ビーズブラスト加工は、実際のリン酸塩皮膜処理とよく似ている。それはイギリスで発明されたものだが、クラーク・W・パーカーという人物がアメリカの特許を取得し、1915年にデトロイトでパーカー・ラストプルーフ社を設立して以来、パーカライジング(リン酸塩皮膜処理)と呼ばれるようになったのだそうだ。基本的にはリン酸溶液に部品を浸し、加熱する。ロレックス 買取化学反応の結果、表面には耐摩耗性、耐腐食性に優れたリン酸塩金属皮膜が形成され、軍事用途ではパーカライジングによって得られる無光沢の表面は、さらに利点となるのだ。

とにかく、子供の頃はパーカライジングと言えば、極限状態に耐え、敵の心に恐怖を与えるものの代名詞のように思っていた。それに加えて、この時計の鈍器的な雰囲気は、ある種の「見た目は悪いが味はよい」といった魅力がある。この時計は、A-10ウォートホッグのようなものだ(醜い機体が愛されるのは、そのルックスではなく、それが現れたときに、し・ご・と、をするために来たのだということが分かるから)。

まともな人間は戦争がよいことだとは決して言わない。それなのに戦争が恐ろしいほどの魅力を放っているのは、いつも不思議なことだ。戦争は、古代ギリシャの『イーリアス』まで遡れば、物語や歌のなかで祝われ、それ以来、無数の文化やそのアイデンティティの中心的な存在となっている。しかし、私たちがミリタリーウォッチを愛するのは、戦争が好きだから、戦争を賛美するからだとは思わない。昔の私や仲間たちが、何気ない午後に、戦争がもたらす苦しみや恐怖をまったく想像していなかったように、私たちがこうした時計に魅力を感じるのは、戦争の混乱ではなく、目的意識、デザインの明快さ、そしてスタイルよりも実質を優先させる点なのだ。ベンラス タイプ1に1695ドル(約19万5千円)も出すのなら、他でも時計は手に入る、というのは正しい指摘だ。しかし、私にとって本機は競合他社とは一線を画すものである。それは、オリジナルの精神と目的を可能な限り尊重することを明確に意図したチームによって、一から組み立てられたアメリカン・アッセンブルの製品であることを体現しているからだ。

「マンデラ効果」と呼ばれる偽記憶の一種がある。実際には起こっていないことを、覚えているつもりになっている、いや、覚えいると思い込まされている。この効果は、1980年代にネルソン・マンデラ氏が獄中で亡くなったという誤った記憶が広まったことから名づけられたが(彼が亡くなったのは2013年)、ありふれたことでも誤った記憶となることがある。例えば、児童書の「ベレンスティーン・ベアーズ」シリーズはベレンスティーンという熊の話だと死の床で誓う人もいるだろう。ベンラス タイプ1は私にとってプルーストのマドレーヌだと言ったが、私の子供の頃にタイプ1はなかった。タイプ1は特殊作戦部隊に支給されるもので、プラスチックのおもちゃの銃を振り回しながら、8歳の友達にエンフィレード・ファイヤーの意味を説明しようとする、苛立った子供のためのものではなかったからだ。いや、私が体験しているのは、むしろマンデラ効果だと思う。私はタイプ1を持っていなかったが、本機があまりにも説得力があるので、なぜか持っていたような気にさせ、最悪、兵士であるのをやめるのは、夕食に帰らなければならないときだけ、というあの頃に私をつなげてしまうのである。

【関連記事】:https://truxgo.net/profile/haerfdshop